西洋の化粧文化史/馬鹿げた処方(2)

西洋の化粧文化史/馬鹿げた処方(2)

kesyouhin

また日やけその他、皮膚の色が変わったときには、

「子牛のフンに油とゴムをまぜて両手で練りあわせたものをつけると治り、口にできたはれものやヒビは、子牛の肉または親牛の肉の脂に鵞鳥の脂とメボウギの汁をまぜたものを塗るといい。顔の皮癬を治す良薬は牝の子牛の生殖器を酢と硝黄の汁に投じ、イチジクの枝でかきまぜた粘着性の薬がよい。これはフレッシュなものを一日に二回塗らねばならない。」

と書いてあるのなどは、まったく薬の取り扱いである。

そのほか野菜の薬効を書いた部分に、

「太陽の照っている下で野生の蛇の形をしたキュウリで顔をこすると、ソバカスや顔のしみがとれるし、それを鼻の穴に差しこむと黄疸が治る。カボチャの根を乾かして粉にしたものは肌をなめらかにする美顔料になり、ハチミツ酒に入れて病人に飲ませるとすぐに効果が現われ、病人は半マイルも歩けるようにする。」

といったことが出ている。

プリニウスの美顔料の処方はまだたくさん記載されているが、植物とくに野草や野菜の薬効を説いた部分は、その後の本草学の基礎になり、中世から十五、六世紀まで受けつがれ、現在でも「Herbs」(薬用・食用・香料食物)という題の本に、その流れが残っている。

さまざまの美顔料は、婦人たちが自分でつくっていた。

オーヴィディウスはローマの美人を訪問すると、彼女たちが自分でつくった美顔料を千百種類もの瓶につめて並べているし、羊毛の脂肪でつくった液をなんどもからだに塗る有様がみられるだろう、と書いている。

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