女はなんのために化粧するのか

女はなんのために化粧するのか

kesyouhin

これは昔から、繰り返しされてきた質問だ。「なんのために」は、「だれのために」と置き替えることもできる。

女の人生が75年として、かりに15歳から化粧を始めるとして、あとは死ぬまで化粧すると仮定すれば、女の人生のうち60年は化粧とともに生きる人生であり、化粧への熱意や探究心は年代によって増減があるにしても、化粧をまったく念頭におかないで女が生きる年齢は、幸か不幸かとても短いのである。

いったい、なんのために、女はそんなに熱心に化粧するのだろうか。

よく言われるように、それは異性のためだろうか。男の目を惹き、関心を惹くために、女は化粧するのか?

美人が玉の輿に乗ることが、女にとっての最大のチャンスだった時代には、女は美しく装って自分を高く売る必要があったにちがいない。

現代だって、醜女より美女のほうが何かにつけてトクをすることも事実だ。

それでも、女が高学歴になり、職をもって自立していける時代には、つくられた美貌で男の関心を惹かなくても、女は生きられるようになった。

それにしても化粧が、男の関心を惹き、自分を高く売りこむためのものなら、女の半分近くは化粧法をまちがっていることになりはしないか。

なぜなら、アイシャドウをぬったりアイラインを引いたりして、目を強調するいまの化粧は、男にはエクセントリックにうつることが多いからだ。

男は、自分の連れの女がエクセントリックであることを好まない。

染めた髪、奇抜なヘアスタイル、ダブダブのスカートといった姿は、男を不安にする。それを知っていながら、女はおしゃれに憂き身をやつし、化粧する。

答えは簡単だ。女の化粧、女のおしゃれのターゲットは、男ではない。

それでは、女は同性と張り合うために化粧するのだろうか。女には女同士の虚栄心や強がりがある。

男がスポーツで男同士、同じ感情をもつように、同姓に対して、女は、私のほうが美しいのよ、と誇示したいために、化粧する部分は、たしかにある。

実際、アイディアバンクの調査でも、主婦が念入りに化粧する場合のトップは「クラス会に行くとき」である。女の人生で、同性の嫉妬と羨望、軽い憎しみは花にとっての肥料の役をする。

こんな事実があるから、かしこい女の多くは、化粧やおしゃれに関して、同性の友だちの助言や批評をあてにしている。

女の化粧には、社会的機能もある。女の大多数は結婚する。ことに日本では、婚姻率が高いのだが、結婚した女の役割のひとつは、人の富と成功の陳列台になることだ。

現代では、成人男性は自分の身を飾りたてられないし、化粧にも限度がある。悪趣味といわれないためには、せいぜい金の腕時計にオーデコロンにマニキュアぐらいだ。

したがって彼の富、彼の成功は、妻を高価な品で飾りたてることで世間に示される。

そのために陳列台になる女は、土台から芙しいほうがより効果的なのであって、金持や一流階級の女性に美人が多いのは、こういった社会的必要の結果でもある。

化粧品へのこういう態度をバカらしいと批判しても、同じバカらしさは、男が外で高いお金を払って飲む酒についてもいえるのだ。

女が化粧するいちばん幕本的な理由をあげよう。女は自分のために化粧する。

それはアイデンティティのために、と計い直すこともできるほど、女の全存在とふかくかかわっている。

アイディアバンクの調査でも、「化粧という行為をまったくとってしまったらどうなると思うか」の間いに対して「サバサバする」の答は300人中、わずか2、3人。圧倒的多数は「生きる喜びが減る」と答えている。

もし、自分のために化粧するのでなければ、なぜ女は、外出しないときにも化粧するのか。

見せたい人に会わないときにも化粧するのか。もちろん、化粧に念を入れる程度はちがうにしてもだ。

他人が見ないなら、顔も、髪も、くしゃくしゃでかまわないはずなのに、ヘアスタイルも顔色も冴えないというのには、女は不愉快に感じ自信がゆらぐ。

クサクサするときは髪を洗っていい感じに仕上げただけで、気分が晴れるのだ。

湯上がりに美しい顔色で、髪を感じよくまとめベッドに入って本を読むとき満足の笑みをもらす。

彼女は自分の美に満足したのだ。人間は美しいと自信を増し、他人に親切にされることで性格もよくなる、といった相関関係はうなずける気もする

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