十字軍の影響

十字軍の影響

kesyouhin

西欧諸国が十字軍を聖地に送ったのは十一世紀から十三世紀にかけてだったが、その期間に女性の生活に二つの目立った変化が生じた。

その一つは、貴族たちが、十字軍やその他の戦争のためにしばしば城や邸をあけたので、その留守をあずかった奥方(レディー)は召使や農奴に直接権威をふるうようになり、その一方で上流の子弟に行儀作法を教えたり、城や邸に訪ねてくる旅人たち(そのなかには放浪楽人や吟遊詩人がいた)を厚くもてなす役目をはたしていたので、いつのまにか女城主あるいは大邸宅の女主人という地位ができあがった。

奥方たちの地位が高まったということは、同時に彼女たちの身なりや態度にも変化を及ぼし、なかには礼儀正しい信心ぶかい女性というワクを破ったおしゃれな女性も現われた。

もう一つの変化は、十字軍に従った騎士たちによって、東方の文化や珍しい品物が西欧に広まったことで、とくにヨーロッパの北方の粗野な騎士たちは、諸国の騎士とともに東方を遍歴している間にだんだん垢抜けがして、騎士的な礼儀を身につけるようになった。

彼らは故国の女性たちをうっとりさせるダマスカスの絹織物やプルーサ(小アジア)のビロードや、東方の化粧水を持ち帰った。

ここでちょっと説明しておかなければならないことは、中世の初期には、西欧は暗黒時代だったが、東方ではアラビア人がギリシア、ローマの学問や技術を研究し、同時にインドやペルシアの知識や文化を吸収して、世界でもっとも高い文化をもっていたことで、そのなかで彼らの化学によって考えられた昇華、濾過、蒸留などの技術が西欧に伝えられ、香水(男性のためにはアルコール飲料)をつくる基礎になった。

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